生産回復の裏で、残業増・雇用減・賃金上昇――受注増を「人の頑張り」で支えていませんか

茨城県の製造業に、生産回復の動きが見られます。

茨城県が2026年8月25日に公表した6月の鉱工業指数によると、生産指数は101.9となり、前月比6.7%上昇しました。特に、汎用・業務用機械工業、生産用機械工業が全体を押し上げています。出荷指数も前月比3.4%上昇しており、仕事が戻りつつあることがうかがえます。

一方、8月27日に公表された県内の毎月勤労統計では、所定外労働時間が前年同月比10.7%増え、7か月連続で前年を上回りました。常用労働者数は1.4%減少し、5か月連続のマイナスです。さらに、定期的に支給される給与は前年同月比4.5%増えています。

統計の対象や範囲が異なるため、これらを単純に因果関係で結ぶことはできません。しかし、現場では「仕事は戻っているが、人を増やせず、既存社員の残業と賃金上昇で対応している」という企業が増えている可能性があります。

受注回復が、必ずしも利益増加につながるとは限らない

受注が増えること自体は歓迎すべきことです。しかし、人員不足のまま生産量を増やせば、残業代、外注費、特急対応、管理者の負担が増えます。納期を優先するあまり、見積精度や検査品質が低下する危険もあります。

特に注意したいのは、工場の設備だけでなく、その前後にある間接業務です。

見積書の作成、製造指示、検査記録、顧客への報告書、過去図面の検索、問い合わせ対応などが特定の社員に集中していると、生産設備を増強しても、事務処理や判断業務が新たなボトルネックになります。

売上が増えているのに、残業と人件費も増え、利益率が上がらない。この状態を放置すると、社員の疲弊、品質事故、離職、納期遅延につながりかねません。

AIを導入しても、残業が減るとは限らない

ここで生成AIの活用が選択肢になります。ただし、AIツールを社員に配れば自動的に残業が減るわけではありません。

日本経済新聞には「AI使うほど残業長く 別業務や指導に時間」という記事も掲載されました。記事で紹介された調査では、AIによって対象業務の作業時間は平均16.7%減少した一方、業務時間を短縮できたと回答した人は25.4%にとどまりました。

AIで生まれた時間に別の仕事が追加されたり、AIに詳しい社員へ質問や指導が集中したりすれば、会社全体の残業は減りません。むしろ、できる人への負担が増えることさえあります。

必要なのは、AIの操作研修だけではなく、「どの業務を減らすのか」「誰にノウハウを移転するのか」「削減できた時間を何に振り向けるのか」まで決めることです。

小さく始め、社内に改善能力を残す

受注が増えている時期は、現場に新しい仕組みを一から学ぶ余裕がありません。そこで、まず短期間で効果を確認しやすい間接業務から始めるのが現実的です。

例えば、過去の見積書を参照した見積案の作成、検査記録からの報告書作成、作業日報の要約、問い合わせ回答案の作成などです。

さらに、熟練者が経験的に行っている判断をインタビューによって言語化し、手順書やチェックリストに落とし込めば、若手への技術移転にもつながります。AIは人を置き換えるためだけでなく、社内の知識を次世代に残すためにも活用できます。

伴走パートナーズが支援できること

伴走パートナーズでは、単発のAI研修ではなく、「残業を減らし、受注増に耐えられる業務体制を社内に残すこと」を重視しています。

具体的には、次の支援を行います。

  • 残業が発生している業務の棚卸し
  • 見積書、報告書、検査記録などのAI活用
  • 熟練者の判断基準や暗黙知の言語化
  • 社内AI担当者へのハンズオン型スキル移転
  • 削減時間、品質、粗利への効果測定

外部の専門家に依存し続けるのではなく、社員が自ら改善を続けられる状態をつくることが目標です。

受注や生産が増えている今こそ、「人の頑張りで乗り切る経営」から「仕組みと知識で成長できる経営」へ転換する機会ではないでしょうか。

残業が増えている業務や、特定の社員に集中している仕事があれば、まずは現状を一緒に整理します。

まずは、お気軽に無料相談から始めてください。

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